2020年度「現代日本文学の翻訳・普及事業」

JLPP 文化庁

JLPP日本文学翻訳セミナー2020 新進気鋭の翻訳家は日本文学をどう読み解くのか

作品

岸本佐知子
「年金生活」
主人公は、夫とふたり暮らしの九十歳は超えている高齢者。一日のほとんどを庭の畑いじりで過ごしている。どのくらい先か分からないが、近未来が舞台のようだ。役所は機能を停止し、電話は通じず、郵便局は無人。ある日、政府が、延々と先延ばしにしてきた年金を給付すると発表する。やがて届いた年金、そこから始まる〈ねんきん〉暮らしは、彼らが全く予想もしないものだった。
英日翻訳家として高く評価されている岸本佐知子の短編を、今もっとも注目される若き翻訳家が読み解きます。
岸本佐知子Kishimoto Sachiko
翻訳家
上智大学文学部英文学科卒。洋酒メーカー宣伝部勤務を経て翻訳家に。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、ショーン・タン『内なる町から来た話』他多数。著書に『ひみつのしつもん』、『なんらかの事情』などがある。『ねにもつタイプ』で第23 回講談社エッセイ賞を受賞。

講師

ポリー・バートン
ポリー・バートンPolly Barton
翻訳家
イギリス在住の日英翻訳家。ケンブリッジ大学で哲学を専攻。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で「翻訳の理論と実践」の修士過程を修了。2012年、第1回JLPP翻訳コンクール最優秀賞受賞。有吉佐和子『非色』の英訳で2016年度Kyoko Selden Memorial Translation Prizeを受賞。窪美澄『ふがいない僕は空を見た』の英訳で2017年度PEN/Heim Translation Fund Grantsを受賞。訳書に、柴崎友香『春の庭』、山崎ナオコーラ『Friendship for Grown ups』、松田青子『おばちゃんたちのいるところ』他多数。
サム・ベット
サム・ベットSam Bett
翻訳家
1986年生まれ。アメリカ在住の日英翻訳家。2015年、第2回JLPP翻訳コンクール最優秀賞受賞。2019/2020日米フレンドシップ・コミッション日本文学翻訳賞受賞。文芸翻訳の朗読会の企画、司会等や執筆活動も行う。訳書に三島由紀夫『スタア』、西尾維新『刀語』、東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、デビッド・ボイドとの共訳で川上未映子『夏物語』、『ヘヴン』、『すべて真夜中の恋人たち』他多数。