翻訳作品紹介
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第1回選定作品
作品タイトル
『ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨』
作家名
翻訳者
英語版 / Marc Jardine & Yumi Gunji published
ドイツ語版 / Ina Hein published
ロシア語版 / Alexander Kabanoff & Galina Dutkina published
初版
1985年 河出書房新社
キーポイント
  • 大胆な性描写で、日本人の若い女性と黒人の恋人との関係を描く衝撃的なデビュー作
  • 1987年に神代辰巳(くましろたつみ)監督によって映画化
(あらすじ)
「視て、触れて、匂いを感じ味わう、五感で描く女と男の物語」
 
 クラブ歌手のキムは、横須賀基地のクラブで、ブラックタイにタキシードという場違いな格好の黒人男性・スプーンを盗み見していた。スプーンと視線が合った瞬間、ふたりの関係がはじまる。軍隊を逃げ出してきたスプーンがキムの部屋に転がり込み、ふたりは一緒に暮らし始める。しかし、その一方で、キムは、スプーンにのめり込んでいく自分を打ち消そうと、別の男ともセックスする。ある日、キムは、自分が姉のように慕うストリッパーのマリアとスプーンがベッドにいるところを目撃する。マリアはキムへの長年の愛を告白し、嫉妬からスプーンと寝たのだ、と言う。さらに強くスプーンへの愛を感じるようになるキムのもとに、突然、警視庁から電話がかかり、スプーンは連行されていく。スプーンを失ったキムは、呆然と部屋に座り込むのだった。(「ベッドタイムアイズ」)
ルイ子はあるパーティーで、野暮な服装で田舎者っぽいリロイと出会う。リロイは、ルイ子に死ぬほど夢中になったが、ふたりの関係は長く続かなかった。ルイ子に新しい男ができた頃、リロイはアメリカに帰国し、除隊した。しかし、数年後、リロイがジャズピアニストとして成功し、戻ってくる。かつては、ルイ子に奴隷のように支配されていたリロイの愛の復讐がはじまる。(「指の戯れ」)
 ココは、11歳の息子・ジェシーと暮らす離婚経験者のリックとつきあっている。あるとき、ココは、病気の父を見舞いに実家に戻るリックの替わりに、ジェシーの面倒を見ることになる。ココはジェシーと仲良くなろうとプレゼントを渡すが、ジェシーは「ありがとう」と言いながら、ココの頰に唾を吐く。悪魔のようなジェシーに翻弄されるココであったが、曲折を経て、ココはジェシーへの慈愛の気持ちを抱くようになる。(「ジェシーの背骨」より)
 
ジャンル:大衆小説
 
受賞:文藝賞受賞作(第22回)
(文藝賞:新人の登竜門として、既成の枠にとらわれない衝撃的な作品に贈られる賞)
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