翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『楼蘭』
作家名
翻訳者
ロシア語版 / Evgeny Kruchina published
初版
1968年 新潮社(文庫版)
キーポイント
  • 小オアシス国家の苛烈な運命と雄大な自然を見事に描いた歴史ロマン。
  • 希代のストーリーテラーが物語る歴史小説。
(あらすじ)
「壮大なロマン―2000年のときを経て、砂漠の古都楼蘭に水の命が蘇る」
 
かつて中国の西域に、人口1万4千余りの小国家「楼蘭(ろうらん)」があった。大砂漠地帯のなか、巨大なロブ湖の湖畔にあり、ポプラの密林や葦の沢に囲まれたオアシス都市である。楼蘭は、大国の漢と凶暴剽悍な遊牧民族の匈奴に挟まれていた。そのため、匈奴の劫掠に脅かされ、漢には匈奴討伐への拠点として利用され、あるときは匈奴に、またあるときは漢につきながら、時勢に寄り添って生きてきた。やがて漢の庇護を約束に、現在の城邑を棄て、新しい都城への移動を受け入れる。南方の小さな湖の湖畔にあったその土地は、鄯善(ぜんぜん=新しい水)と呼ばれた。以後、鄯善に住む人々にとって、古都楼蘭はいつか「帰るべき都」となる。その楼蘭は、歴代の中国の支配者によって、匈奴討伐の駐屯地として所有されることとなった。
それから600年、鄯善国の若き武将が、祖先の土地楼蘭を奪回しようと進撃した。しかし、そこに見たものは砂漠の砂ばかり。20世紀に入って、スウェーデンの探検家ヘディンが楼蘭を発見した。ヘディンは、埋れていた楼蘭の遺趾を発掘し、ロブ湖が1500年の周期で砂漠を移動していることを解明した。彷徨する湖は今、豊かな水の流れと水鳥や密林とともに、楼蘭に向かって帰りつつある。
 
 
ジャンル:歴史小説
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