翻訳作品紹介
To English
第2回選定作品
作品タイトル
『ジャスミン』
作家名
翻訳者
英語版 / Juliet W. Carpenter published
初版
2004年 文藝春秋
キーポイント
  • 上海、神戸と国を越え、政治に逆らって突き進む、華麗な傑作長篇ロマンス
(あらすじ)
「わたしのことを忘れて、わたしのことを忘れないで……と彼女は言った」
 
 上海にある映画会社で働いていた脇種彦(わきたねひこ)は、息子の彬彦(あきひこ)が3歳のとき突然姿を消した。そして、失踪から30数年後、外資系シンクタンクの辣腕ディレクターとして活躍する彬彦は、中国大陸に消えた父の足跡を追って上海に降り立つ。
 種彦は二重スパイだったらしく、戦後帰国してまもなく、処刑されたはずの愛人に呼び寄せられて中国に舞い戻り、その後生死もわからない。種彦の行方は、中国政府も追っているようだ。
 天安門事件の余燼がくすぶる上海で彬彦が出会ったのは、女優であり逃亡中の民主活動家の恋人でもある李杏(りーしん)。彼女は、助けが必要だと彬彦にすがり、彬彦の滞在するホテルのスイートルームに置いてくれるよう頼む。こうして、ふたりの奇妙だが甘い共同生活が始まり、彬彦は父の歩いた道をなぞるかのように危険な恋に落ちていくのだった。
 しかし、ふたりの生活は長くは続かない。公安に追われる身である李杏は、彬彦に逃げるよう指示し、自分は行方をくらます。
 李杏との別れから4年後、彬彦は知人の葬儀で知りあった中国領事に、父親の調査を正式に依頼する。その1年後、領事の妻、李燕(りーえん)が中国から来日するが、その李燕とはなんと李杏だった。偶然再びめぐり会うふたりの恋の行方は? そして、彬彦と種彦の再会は果たされるのか? 時代を画す、傑作長編ロマン。
 
ジャンル:純文学
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