翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『親指Pの修業時代』
作家名
翻訳者
英語版 / Michael Emmerich published
初版
1993年 河出書房新社
1995年 河出書房新社(文庫版)
キーポイント
  • 新鋭作品に贈られる三島由紀夫賞候補作(第7回)。
(あらすじ)
「ふと気がつくと、右の足の親指がペニスになっていた……」
 
 ある夕暮れ、大学生一実(かずみ)が、午睡から目覚めると右足の親指が心地よく疼いていた。その疼きに誘われ足の先に目をやると、親指があるべき場所にペニスがあった。大学を休学して親友と恋愛ビジネスの会社を経営していた一実だったが、その共同経営者である親友が突然自殺をしたのをきっかけに、会社経営から退く。珍事が起こったのは、その親友の四十九日が過ぎた翌日の午後のことだった。一実の親指はペニスそっくりな形ではあるが、排泄機能はない。ただし、刺激を与えれば性的な反応する。
 恋人の正夫(まさお)は、一実の親指を気持ち悪がり、触れようともせず、あげくの果てはカッターで切り落とそうとする。正夫の部屋から靴も履かず逃げ出した一実を救ったのは、正夫の近所に住む盲目のピアニスト春志(しゅんじ)だった。求められれば男女問わず性的関係を持つ春志だったが、一実は不思議と惹かれていき、ふたりは婚約をする。
 春志と関係を深めていく一実は、「フラワー・ショー」という見世物一座の存在を知る。一座のメンバーたちは、性にまつわる器官に普通の人間とは大きく異なる特徴があるのだ。一実は、一座のステージでキーボードを演奏することが決まった春志と一緒に一座のツアーに同行する。最初は、性行為のショーに抵抗が持つ一実だったが、徐々に一座のメンバーと友情と愛情を深め、一座との生活にどっぷりはまっていく。そして、ステージに立つことをも決心するのだった……。
 
ジャンル:純文学
 
受賞:女流文学賞受賞作(第33回)
(女流作家の優れた作品に贈られる賞)
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