翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『雁の寺・越後竹人形』
作家名
翻訳者
英語版 / Dennis Washburn published
ドイツ語版 / Verena Werner published
初版
1969年 新潮社(文庫)
キーポイント
  • 古都京都の寺を舞台に、住職の殺害をモチーフにしたミステリー仕立ての異色文芸作品 「雁の寺」ほか。
(あらすじ)
「“言い難き秘密”を持つ人々。かつてあった日本の、美しさと貧しさと残酷を描く物語」
 
京都の寺、孤峯庵(こほうあん)の襖には、母雁が子雁に餌をふくませている絵がある。その絵を描いた絵師が亡くなり、絵師の妾であった里子(さとこ)は、孤峯庵の住職、慈海(じかい)の寺に移り世話になる。この孤峯庵には、慈念(じねん)という小坊主がいた。
捨て子であった慈念は朝早くから、寺の用事、学業、作務と忙しい。貧しい出自と、小さな体で黙々と働く慈念に、里子は母性本能を抱く。だが、慈海と里子との連夜の狂態ともいえる営みを覗き見たり、池の鯉を竹小刀で殺したりする慈念の姿に気づき、里子は不気味なものを感じるようになる。一方、慈念は優しい里子への思慕と同時に、厳しく容赦のない慈海への憎悪を募らせる。やがて、それは殺意に変わる。そしてある日、慈海の姿が見えなくなる。(「雁の寺」より)
 
越前の山奥にある村「竹神(たけがみ)」は、竹の名所であった。そこに住んだ竹人形師の氏家喜左衛門(うじいえきざえもん)の息子の喜助(きすけ)と、父と息子に愛された、ひとりの女、玉枝(たまえ)の物語である。
喜左衛門が亡くなり、遊郭の娼妓であった玉枝が、生前通ってくれた喜左衛門の墓参りに訪れ喜助と出会った。やがてふたりは結婚するが、喜助は一度も玉枝の体に触れなかった。父の愛した玉枝に、母の姿を重ねていたのだ。母の姿は穢してはならない。玉枝も、一心に竹人形を作る喜助に献身的だった。しかし、その幸せも長くは続かなかった。(「越前竹人形」より)
 
ジャンル:大衆小説
 
受賞; 直木三十五賞受賞作「雁の寺」(45回) 
(大衆文芸作品中最も優秀なるものに贈られる賞)
 
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