翻訳作品紹介
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第3回選定作品
『東京セブンローズ』
作品タイトル
『東京セブンローズ』
作家名
翻訳者
英語版 / Jeffrey Hunter published
フランス語版 / Jacques Lalloz published
ドイツ語版 / Matthias Pfeifer published
ロシア語版 / Karine Marandjian
初版
1993年 文藝春秋社
キーポイント
  • 日本を代表する喜劇作家が、第二次世界大戦直後を舞台に、執筆に17年かけた最高傑作
(あらすじ)
「占領軍による、日本語のローマ字化。日本の未曾有の危機に七人の名花・東京セブンローズが立ち向かう」
 
設定は敗戦の色濃い戦中から戦後のアメリカ占領時代初期の日本で、東京の下町・根津に住む団扇屋・山中信介の、1945年4月から1946年4月までの日記という形を取っている。
 終戦後、信介は偶然に占領軍の恐るべき陰謀を知る。それは日本を「忌むべき」過去から決別させるため、日本語をローマ字化しようというものだった。日本文化の一貫性に対するこの前代未聞の脅威と戦うため、7名の美しい女性(セブンローズ)が立ち上がる。夫をB29の爆撃で失い、義父が正気を失ったともゑ、姉を空襲で失った文子と武子、戦争未亡人の仙、両親と兄を亡くした時子、家族全員を亡くした可世子と芙美子の7名である。彼女たちは日本を戦争へと駆り立てた当時の指導者に憤慨し、それにのせられた自分の責任を痛感しながらも、アメリカを憎悪していた。彼女たちは日本語改革政策を最終決定する教育使節団の有力者3名に狙いを定め、自分たちの魅力を使って素晴らしい成果を上げる。使節団の3名は帝国ホテルで仙や他の女性と裸でふざけているところを写真に撮られてしまい、日本語のローマ字化を断念するという書類にサインさせられたのだ。
 この作品に描かれるのは日本にとって不毛で悲痛な時代であるが、信介の日記には当時の庶民の驚くほど快活で、あけっぴろげな生活の詳細がつづられている。著者は窮乏生活の中でも笑いの中に安らぎを見いだしていた日本人の姿をいきいきと描いている。
 
ジャンル
純文学
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