翻訳作品紹介
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第3回選定作品
『赤目四十八瀧心中未遂』
作品タイトル
『赤目四十八瀧心中未遂』
作家名
翻訳者
英語版 / Kenneth J. Bryson published
フランス語版 / Véronique Perrin
ドイツ語版 / Katja Busson published
ロシア語版 / Lioudmila Ermakova & Yura Okamoto
初版
1998年 文藝春秋社
キーポイント
  • 「裏社会」の人々を鮮烈に描いた半自伝的作品
(あらすじ)
「ある日、女が突然部屋に現れ、『連れて逃げて』と頼んできた」
 
主人公は世間に背を向けている男。33歳の時に仕事を辞め、友人とも絶縁し、街から街へと漂って、最終的に尼ヶ崎にたどり着く。そこは食べるあてのない街だ。
 「セイ子ねえさん」は小さな焼鳥屋を営む初老の女で、彼に仕事と住まいを世話してくれた。その日から、彼は老朽木造アパートの2階に住み、朝から晩まで豚肉や鶏肉のモツ肉をさばき、串刺しの準備に追われた。
 このアパートの向かい側には鋭い目をした彫師の彫眉が訪れ、アパートの1階には彫眉の恋人・アヤちゃんと幼い男の子が住んでいた。ある日、アヤちゃんが唐突に彼の部屋にやってきて、彼らは性的な関係をもった。アヤちゃんの背中には彫眉が彫った迦陵頻伽(曼荼羅に描かれている極楽に棲む鳥で、人間の頭部と鳥の体をもつ)の刺青があるが、彼女は典型的なファムファタールである。
 アヤちゃんの兄はヤクザ者で組の上納金に手をつけ、アヤちゃんが一千万円を支払うか身を売らなければならない状況に陥ってしまう。「うちを連れてこの世の外へ逃げて」とアヤちゃんは懇願した。ヤクザと彫眉から逃れ、二人は大小合わせて48の瀧のある名所「赤目四十八瀧」にやってくる。そこで心中を測るつもりだったが、最後の最後で引き返し、別れ別れになった。
 
 
ジャンル:大衆小説
受賞:直木賞(第119回)
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