翻訳作品紹介
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第3回選定作品
『千すじの黒髪—わが愛の与謝野晶子』
作品タイトル
『千すじの黒髪—わが愛の与謝野晶子』
作家名
翻訳者
英語版 / Meredith McKinney published
初版
1974年 文藝春秋
キーポイント
  • 与謝野晶子に情熱を注ぐ著者が描く長篇ロマン
(あらすじ)
「与謝野鉄幹をめぐり、恋の火花を散らす女流歌人たち」
 
この作品は日本の短歌の世界に革命を起こした二人の歌人、与謝野鉄幹(1873~1935)と与謝野晶子(1878~1942)の激動の人生と彼らを取り巻く若き歌人たちの情熱を描いた物語である。この文学的伝記について著者自身が「この作品はいわば、寛(与謝野鉄幹の本名)と晶子に宛てた私のラブレターである。眷恋久しき二人の天才歌人に捧げるわが讃め歌である」とあとがきに記している。
 晶子は大阪・堺の菓子舗の三女として生まれ、少女時代は父の書斎にある「古今集」(920年)「新古今集」(1204年)をはじめ、「源氏物語」「大鏡」古典作品を読んでは、文学とロマンスの世界にふけっていた。
 若き日の鉄幹は「詩は愛と苦悩の子」と語り、愛と詩作にすべての情熱を注いだ。1899年、鉄幹は自ら詩のグループ「東京新詩社」を発足、機関誌「明星」を発行。「明星」の第2号には、晶子と山川登美子の作品が掲載されている。鉄幹はこの二人を自分が滞在している京都の宿に呼び出し、3人は短歌に生きるという血書を交わした。晶子と登美子は短歌における同志でありライバル、そして鉄幹の愛を手に入れようとする恋敵でもあった。晶子は生涯を通じて嫉妬に苦しみながらも、新時代の短歌の指導者である鉄幹を愛し、彼の傍らで仕事を続けたのである。
 
ジャンル:大衆小説
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