翻訳作品紹介
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第4回選定作品
『六道遊行』
作品タイトル
『六道遊行』
作家名
翻訳者
フランス語版 / Jean-Jacques Tschudin published
初版
1995年 集英社
キーポイント
  • 奇想天外な物語を通し、現代社会を鋭く風刺するマジック・リアリズム長編
(あらすじ)
「奈良時代と現代、1200年の間を行き来する、盗賊の冒険物語」
 
 奈良時代、時の権力者、藤原仲麻呂の家に忍び込み、財宝と名刀を盗んだ盗賊頭の小楯は、法力を得るために葛城山に向かう道で美しい女の一行に会い、大杉の精、白鹿の導きによって、奈良時代とはるか1200年後の現代をタイムワープできるようになる。
 春日の森の大杉の洞穴を通り過ぎると、明るい電燈の下、若い女がベッドに横たわっていた。女はストリッパーの眞玉で、以来、小楯は2つの世を行き来し、奈良の世では密かに思いを寄せる「姫みかど」を取り巻く権力の亡者たちに鉄槌を下し、現代では眞玉との間に生まれた子供を取り巻く物欲の亡者たちに霊力をふるう。
 「今があればこそ、今から先があるぞ」。どの時代にあっても前向きに「今」を生きる男、小楯を往還させるのは、尋常ではない「非常の力」だ。「かなたの世界(末の世)では物がおびただしい繁昌と見える。人間まで物よ。生きてはいても、心が抜けて、右往左往、めいめい勝手に暴れまわって始末がつかぬ」、そう慨嘆する大盗賊・小楯は、「姫みかど」への真実の恋を貫き、物質社会と化した現代社会と対峙する−−。奇想天外な設定ながら、反俗精神と、現代社会に対する鋭い風刺が盛り込まれ、「和製マジック・リアリズム」といえる長編ファンタジー。
 
ジャンル:□□□□
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