翻訳作品紹介
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第4回選定作品
『雪沼とその周辺』
作品タイトル
『雪沼とその周辺』
作家名
翻訳者
フランス語版 / Anne Bayard-Sakai published
初版
2003年 新潮社
キーポイント
  • 山間の静かな町、雪沼に生きる人々の甘苦を綴る連作短編集
(あらすじ)
「古くて、品がいい、山間の町に住む人々。“雪沼”に暮らす人々の哀感」
 
 20数年間、細々と営んできたボウリング場を廃業する日、客は1人も来なかった。夜の9時をまわったところでひょっこり現われた若いカップルに、店主は最後の1ゲームをプレゼントする。玉がピンをはじき飛ばす音を聞きながら、店主の脳裏に死んだ妻や知人の記憶が甦る。
 父が死んだ年齢を越え、幾多の夢を捨て去ってきたが、本当にこのスタンス・ドット(立ち位置)でよかったのか−−(「スタンス・ドット」)。山間の静かな町、雪沼で、ボウリング場、フランス料理の教室、レコード店、製函工場、書道教室などを営む人々。日々の仕事と真摯に向き合い、暮らす彼らの、語られずにきた人生の甘苦を、細密な筆づかいで映し出した連作短編集。
 「スタンス・ドット」は、その年の最も優れた短編小説に贈られる川端康成文学賞を受賞した佳品。連作短編集としても、谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞を受賞。作家の池澤夏樹に「時代遅れで、静かで、どこか品がいい」と評された人間の普遍的な郷里、雪沼を舞台にした傑作である。
 1964年生まれの著者は、フランス留学を経て、2001年に「熊の敷石」で芥川賞受賞。日本の主要文学賞を次々と受けている小説家で、フランス文学者で早稲田大学教授、翻訳家でもある。
 
ジャンル:純文学
 
受賞:川端康成賞 「スタンス・ドット」
   谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞 『雪沼とその周辺』
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