翻訳作品紹介
第4回選定作品
『上海』
作品タイトル
『上海』
作家名
翻訳者
ロシア語版 / Tatiana Breslavets
初版
1928~1931年 「改造」に発表
1991年 講談社文芸文庫
キーポイント
  • 戦争前夜の国際植民都市、上海。群衆の動きを活写した新感覚派の頂点に立つ長編小説
(あらすじ)
「1925年の反日民族運動を背景に、1人の日本人の懊悩と彷徨を描く」
 
 太平洋戦争前夜、極東最大の国際都市として発展し、「魔都」「東洋のパリ」と言われた上海では、列強ブルジョワジーと中国共産党がせめぎ合い、労働運動が盛んになっていた。
 1925年、人妻との恋に疲れて上海に来た日本人の参木は、上司と対立して失職、湯女やダンスホールの踊り子から慰めを受けながら、中国共産党の女性闘士、芳秋蘭を愛するようになる。だが、疎開警察がデモ隊に発砲、大騒乱になった反日民族運動「5・30事件」が起き、秋蘭は参木のもとから去り、参木は群衆の中に秋蘭を探し求め、苦悩し、死を思いながら、街を彷徨う−−。
 ノーベル文学賞を受けた川端康成とともに、新感覚派の代表作家として活躍した著者が、1928年に約1ヵ月上海に滞在した経験をもとに書いた初の長編小説。太平洋戦争前夜、人生に行き詰まり、愛に懊悩する参木を初めとする作中人物を、視角と心理の両面から追う斬新な文体を用い、戦争前夜の国際都市、上海の深い息づかいを伝える、先駆的都会小説である。大正末期から昭和初期にかけ、芥川龍之介や魯迅ら、多くの文学者が上海を訪れ、歴史の転換点に立つ人々の姿を見つめていた。著者もその1人で、独自の手法で時代と群衆の動きを描き出している。
 
ジャンル:小説
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