翻訳作品紹介
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第5回選定作品
『カラフル』
作品タイトル
『カラフル』
作家名
翻訳者
英語版 / Christopher Belton
初版
1998年 理論社
キーポイント
  • 児童文学界のトップランナーによる傑作青春ファンタジー。
  • 少年はある日気づく。「世界はたくさんの色に満ちている」。産経児童出版文化賞受賞作品。
(あらすじ)
 死んだはずの「ぼく」の魂に向かい、天使が「おめでとうございます、抽選に当たりました!」と言った。すでに記憶をなくしていたぼくは、前世で大罪を犯したらしい。抽選に当たったおかげで、服毒自殺を図った14歳の少年「小林 真」の身体に乗り移り、下界で人生に再挑戦し、罪をあがなうチャンスを得たのだが、当の「小林 真」は、絵を描くのが得意な以外は取り柄がなく、友だちもいず、背の低さを気にしてベッドの下にシークレットブーツを隠し持つような冴えない奴だった。真の家族も最悪だ。会社員の父親は上司の失脚に乗じた自分の出世を喜ぶ功利主義者、母親はフラメンコ講師と浮気中、成績優秀な兄は意地悪。1歳下の憧れの女の子、桑原ひろかは欲しいものがたくさんありすぎて、オヤジたちと援助交際を重ねて金を得ている。しかし、下界の”ホームステイ”先が最悪な環境でも、「ぼく」は「ぼく」だ。真のやぼったい髪を切ってイケてるスタイルにし、貯金をおろして流行りのスニーカーを買うと、周りの男子が褒めてくれ、早乙女くんという友だちができた。再挑戦にはタイムリミットがあるから、高校に入っても程なく死んでしまうのだが、ぼくは受験のために猛勉強も始める。そして徐々に、ぼくの人の欠点や美点を見る目が変化する。〈黒もあれば白もある。赤も青も黄色もある。明るい色も暗い色も。きれいな色もみにくい色も。角度次第ではどんな色だって見えてくる〉。ぼくの周りにある世界は、「黒か白か」ではない。すごくカラフルだ。そしてある日、ぼくは前世で犯した大罪に気づく……。1998年に刊行され、第46回産経児童出版文化賞を受賞、2000年に映画化もされた青春ファンタジーの傑作。著者の森 絵都は1968年、東京生まれ。児童文学界のトップランナーとして本作や『DIVE!!』などの傑作を発表、やがて大人向けの小説を手がけ、2006年に『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞を受賞している。
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