第1回選定作品
作品タイトル
『自由学校』
作家名
翻訳者
初版
1951年 朝日新聞社
キーポイント
- 文化勲章受章者で文化功労者でもある獅子文六がユーモラスに描く、激動の戦後日本
- 1951年2人の映画監督が同時期に映画化し、2作品とも高い興行成績を収めた
(あらすじ)
「自由化された家庭と社会、それが自由学校」
舞台は戦後の東京。通信社に勤める南村五百助(みなみむらいおすけ)は、図体ばかり大きく、運動音痴で不精者。その上、給料の多くを飲み代に使ってしまい、妻の駒子(こまこ)に一円たりとも渡さない月さえもある。そんな経緯もあり、駒子は、子供服を仕立てたり、近所で英語を教えたりして、五百助の手取り金額と同等の額を稼いで生活費にしている。
ある日、いつものごとく、昼近くまで出かける素振りを見せない夫を起こそうとする駒子に、五百助は、一カ月前に会社を辞職したことを告げる。ひと月もの間、夫に欺かれていたことに激怒した駒子は、五百助を家から追い出す。
五百助が家出してから、駒子は、知人に夫の居場所を尋ねまわるものの、夫の不在に寂しさを全く感じていない自分に驚く。寂しいどころか、解放感を味わう駒子は、誰に気を使うこともなく自由にでかけられるようになり、交友関係を広げてゆく。
一方、五百助も家出して自由と解放を感じ、一晩飲み明かした後、家に帰る前に公園のベンチひと眠りしている隙に、腕時計、財布、定期券、帽子と、身体から取り外せるものすべてを盗まれてしまう。帰るに帰れなくなった五百助は、浮浪者の老人の世話になる。偶然拾ったお金で、この老人と暮らし始める五百助もまた、近隣の人々との交遊関係を広げてゆく。
自由を満喫しながらも、時折相手のことを思い気にかける駒子と五百助の生活は、どこに向かっていくのか?
ジャンル:大衆小説