第2回選定作品
作品タイトル
『シンセミア』
作家名
翻訳者
英語版 / Alfred Birnbaum
初版
2003年 朝日新聞社
キーポイント
- 戦後日本文学の傑作長篇
- 著者の芥川受賞作である『グランド・フィナーレ』につながる「神町サーガ」の中心的物語
(あらすじ)
「神町に起こる不穏な事件の数々、未曾宇の災害。神の町に<神>は存在しないのか?」
舞台は、第二次大戦後、日本がアメリカに占領されていた時代にアメリカ軍の基地があった山形県の神町。「パンの田宮」の創業者、田宮仁は、進駐軍のコックとして働き、コネを作り、地元のやくざとも関係があったことから、その一族が町で影響力をもつようになる。しかし、町に様々な事件が起こるにつれ、田宮一族は次第に影響力を失っていくと同時に、がんじがらめの地縁、血縁から解放されていく。
本書には約60名の人物が登場し、北日本の小さな街で長年にわたって続いている犯罪行為が描かれる。地域の住民たちは、自殺、交通事故、失踪など次々と起こる出来事に、頭を悩ませているが、物語が進むにつれて、住民たちの恥ずべき行為が明らかにされていく。法に触れるみだらな写真を扱う者、産業廃棄物の違法取引に関わる者、麻薬取引や強奪や放火などに関わる者……。住民たちの隠しておきたい恥ずべき秘密のすべてが次々と露見し、物語は取り返しのつかない終焉へと向かっていく。
ジャンル:純文学
受賞:伊藤整文学賞(第15回)
(優れた小説・評論に贈られる賞)
毎日出版文化賞(2004年)
(広く読者に支持され、出版文化の向上に貢献した出版物に贈られる賞)