翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『女坂』
作家名
翻訳者
ロシア語版 / Galina Dutkina published
初版
1961年 新潮社(文庫版)
キーポイント
  • 豊かな古典の教養をもとに、女の性や業を描いた著者の代表作。
(あらすじ)
「尽くしても尽くしても報われない、行き場のない愛情」
 
 明治初期、福島の地方官吏白川行友(しらかわゆきとも)の妻、倫(とも)は、9歳になる娘の悦子(えつこ)と女中をつれて東京の知人を訪ねた。上京の目的は、夫の妾探し。白川の倫に対する愛情が冷めてきた1年ほど前、白川自身が倫に頼んできたことだった。
 東京でひと月を費やし、倫は15歳になる須賀(すが)を選ぶが、夫が他の女のものになるということを公然と認めなければならない辛さで苦しむ。報われない自分の身を憂いつつも、夫に尽くすことを生活の信条としていた倫の白川への愛情は変わらなかった。
 親子ほど年齢の違う須賀を手にいれた白川の肉欲は、小間使いや長男の妻にまで向かっていく。それでも倫は、白川の最も忠実な支配人としての役割を全うする。そして倫はさらに息子や孫の不祥事の後始末に奔走する。
 すべてを犠牲にして、ただひたすら辛抱をし、真実の「愛」も「幸せ」も知ることのなかった女の一生の悲劇と怨念を描いた長篇。
 
ジャンル:純文学
 
受賞: 野間文芸賞受賞作
(日本の文芸の質的向上と発展に寄与する優れた作品に贈られる賞)
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