翻訳作品紹介
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第2回選定作品
『恋忘れ草』
作品タイトル
『恋忘れ草』
作家名
翻訳者
英語版 / Ian MacDonald published
フランス語版 / Jean Champignon & Annick Laurent
初版
1999年 文藝春秋
キーポイント
  • 恋に仕事にひたむきに生きる江戸の女性たちを卓越した洞察力により描いた傑作
(あらすじ)
 
「江戸の町で、恋と仕事にひたむきに生きるキャリアウーマンたちを描いた連絡短篇小説」
 
外は雪がちらつき、江戸の町もどこか活気にかけているようなある日、女絵師・おいちは、地本問屋加賀屋の主人・吉右衛門を待っていた。一般的に女絵師の作品はあまり売れないのだが、吉右衛門はおいちの才能を買っていた。その日、吉右衛門は、おいちに依頼する錦絵の打ち合わせのために、おいちを加賀屋に呼び出したのだった。
 瓦師の父を亡くしたばかりのおいちには、家に帰っても、仕事をもらった報告をする人がいない。父は「だんまり」の異名をとるほど無口だったので、おいちの報告にもおそらく「よかった」のひと言もなかっただろうが、それでも父の陽に焼けた顔が少しほころぶのを見れば、それだけでよかった。
 父を失った淋しさから、おいちは、想いをよせていた彫師の才次郎のことをついつい考えてしまう。才次郎とは、父の死ぬひと月前から会っていなかった。妻子のある才次郎は、一人暮らしになったおいちが重荷になったのではないか……? おいちの心の中にそんな才次郎への疑いが芽生えて来たとき、突然、才次郎がおいちを訪ねて、家にやってくる。(『恋忘れ草』より)
 
ジャンル:時代小説
 
受賞:直木賞(第109回)
(大衆文芸作品中最も優秀なるものに贈られる賞)
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