翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『戦後短篇小説再発見1 青春の光と影』
作家名
翻訳者
フランス語版 / Jean-Jacques Tschudin & Pascal Simon published
初版
2001年 講談社
キーポイント
  • いつの時代にも変わらぬ若者たちの生態を鮮やかに描いた短編集。
(あらすじ)
「若者の苦悩と有り余るエネルギー、希望と不安が織りなす光と影」
 
 戦後の東京・新宿で、「僕」たちが3日に一度は通った若松屋。僕たちは、そこの2階で倒れるまで飲み、挙げ句の果てはその六畳間で雑魚寝をする。若松屋の女中トシちゃんは20歳前後で無類の小説好き。それ故、作家である僕とその連れに興味を持ち、何かと話しかけてくる。そんなトシちゃんを僕たちはうるさがり、陰で「眉山(びざん)」と呼んでいた(太宰治『眉山』より)
 
 「別れ話」をすることをずっと夢見てきた少年明男(あきお)は、人生初の別れ話をするためだけに雅子(まさこ)という少女を愛し、あるいは愛したふりをして準備を整えてきた。喫茶店で、明男がいざ「別れよう」と口に出したとき、咽頭に痰がからんだような不明瞭な言葉になってしまったものの、しっかりと雅子の耳に届いたようで、無表情な雅子の目からは涙が噴き出した。雅子の涙があまりに続くので、明男は周囲が気になりだし、雨の中、雅子を連れて公園の噴水の前にやってくる。(三島由起夫『雨の中の噴水』より)
 
 テレビ局の報道記者裕一郎(ゆういちろう)を婚約者に持ち、外資系コンサルティング会社で秘書を勤める典子(のりこ)は、裕一郎の海外出張の間に、昔の恋人勝彦(かつひこ)と食事に出かけ楽しいひとときを過ごしてしまう。婚約者が自分から遠く離れて海外へ派遣されることで、典子の心は揺らいでいるのだった。(田中康夫『昔みたい』より)
 傑作青春小説11篇を集めた短編集。
 
ジャンル:青春小説
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