翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『人骨展示館』
作家名
翻訳者
フランス語版 / Patrick Honnoré published
初版
2002年 文藝春秋
キーポイント
  • 沖縄の戦後生まれを代表する奇才、又吉栄喜が描く人間喜劇。
(あらすじ)
「その人骨は、琉球の神女か、それともヤマトの海賊の姫なのか……」
 
 「真栄城(まえしろ)グスク跡から、12世紀の若い女性の人骨が出土した」。1年前の新聞を処分しようとしていた明哲(めいてつ)は、その記事に引きつけられた。
 人骨の出土はそれほど珍しいことではないが、若い女の人骨は初めてのように思い、明哲はグスクのあるG村役場で発掘調査の指揮をとる琴乃(ことの)に人骨の見学を申し込む。その人骨は、推定26歳の未婚女性で神への生贄だった可能性があるという。人骨への興味が増していく明哲は、役場に臨時職員として採用してもらい発掘調査に加わる。
 人骨はヤマトの海賊の娘だと言い放つ琴乃に対し、地元の人々は、彼らの祖先であり高貴な琉球の女性だと信じている。明哲は、地元の人々の親睦会に招かれ酒を酌み交わすうちに、「琉球の神女」説に傾く。そして、離婚をして村に戻ってきた地元の民宿の娘、小夜子と恋仲になり、彼女の夢だった展示館を作り、人骨を神女のものとして陳列する計画を立てる。好きな女の夢のため役場を退職し、財産をもつぎこむ明哲の運命やいかに……。
 現代の沖縄を舞台に風刺とユーモアをこめて描く人間喜劇。
 
ジャンル:大衆小説
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