翻訳作品紹介
To English
第3回選定作品
『星条旗の聞こえない部屋』
作品タイトル
『星条旗の聞こえない部屋』
作家名
翻訳者
英語版 / Christopher D. Scott published
フランス語版 / Sylvain Cardonnel
ドイツ語版 / Matthias Adler published
初版
1992年 講談社
キーポイント
  • アメリカ人である著者が日本語で綴った半自伝的小説
(あらすじ)
「日本と外国の間で揺れ動く精神を描いた連作三篇」
 
リービ英雄は現代日本文学の豊穣さを象徴する人物だ。彼は日本人ではないが日本語でフィクションを書く最初の作家としてよく知られている。なぜ日本語で書くのか。あとがきの中でリービは「日本語は美しい、日本語で書きたくなるのは当然ではないか、と即座に答えたくなる」と記している。
 本書は3部作になっており、表題作は学生運動やアメリカのベトナム侵攻への抗議運動が頂点に達していた1960年代後半の横浜を舞台としている。主人公のベン・アイザックは17歳の少年。アメリカの外交官の息子で領事館に暮らしている。父への反抗心と祖国への反発から、ある日彼は家を飛び出してしまう。
東京の街をさまよいながら、ベンは看板や標識を読むことも耳に入る音を理解することもできない。しかし、親切な友人の協力で、彼は自分が世界の中にいる、日本の大都市に参加できると予感する。
 日本人の大半がいまだに外国人に日本を理解することは無理だと思いこんでいるなかで、ベンと著者のリービはその壁を突き破ることに成功したのである。本書には、ベンを主人公とする2作品「ノベンバー」と「仲間」も収録されている。
 
ジャンル:純文学
return