翻訳作品紹介
To English
第4回選定作品
作品タイトル
『逃亡くそたわけ』
作家名
翻訳者
英語版 / Charles De Wolf published
フランス語版 / Sophie Refle
初版
2005年 中央公論社
キーポイント
  • 精神科病院を逃げだした男女の九州縦断ロードノヴェル
(あらすじ)
「精神病院から逃げだした男女。破れかぶれの若い2人の珍道中」
 幻聴がリフレインし、自殺未遂を起こして精神病院に入院させられた「あたし」は、人生で1度きりの21歳の夏を病院で過ごすのは嫌だった。「ね、一緒に逃げよう」。その日、たまたま中庭にいたうつ病患者の「なごやん」を誘い、病院から逃げ出す。
 なごやんは、有名大学を出て有名企業に入社、転勤で福岡に来てうつ病になった24歳の気弱な男性会社員。「病院に戻ろうよ」と言うのを説得し、車を出させ、「あたし」は「なごやん」と、福岡から鹿児島まで、約1000kmを走破する九州縦断の旅を敢行していく。道端のブドウ畑、岸壁に彫られた仏像、阿蘇が一番すごく見える大観峰、そして海−−。温泉に入ったり、2人はおんぼろ車で九州の田舎町をゆく夏の熱い数日間を過ごすが、あたしの頭の中から幻聴は消えず、逃げても逃げても苦しくなる。一生、逃げ続けるのは無理だとして、では人生とは、どう折り合いをつけたらいいのだろう? 精神を病む若い男女が病院から逃亡し、1000kmを駆け抜ける、辛辣で爽快なロードノヴェル。
 優れた短編に贈られる川端康成文学賞、前途有望な作家と作品に贈られる芥川龍之介賞を受けている著者が、2005年に発表した初の書き下ろし長編小説。
 
ジャンル:小説
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