翻訳作品紹介
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第4回選定作品
『現代詩の鑑賞101』
作品タイトル
『現代詩の鑑賞101』
作家名
翻訳者
英語版 / Paul McCarthy published
フランス語版 / Yves-Marie Allioux & Dominique Palmé
ロシア語版 / Alexander Belyaev & Elena Tutatchikova
初版
1998年 新書館
キーポイント
  • 日本の現代詩を紹介し鑑賞する優れたアンソロジー
(あらすじ)
「読者の詩心を刺激する、仕掛けと滋養に満ちた101の詩作品」
 
 「なぜ 花はいつも こたえの形をしているのだろう なぜ 問いばかり 天から ふり注ぐのだろう」(岸田衿子「なぜ 花はいつも」)。「あの青い空の波の音が聞えるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしつたらしい/透明な過去の駅で 遺失物係の前に立つたら 僕は余計に悲しくなつてしまつた」(谷川俊太郎「かなしみ」)。
 本書の編者は、自らも詩人で、文芸評論家でもある大岡信。戦後日本の現代詩の中から、鮎川信夫、北村太郎、田村隆一、吉野弘、茨木のり子、吉増剛造、荒川洋治ら、55人の101作品を厳選し、詩人の八木忠栄、高橋順子らが精密に読み解き解説した、現代詩を紹介、鑑賞する優れたアンソロジーである。現代詩とは、どんなものなのだろうか。一見、言葉なき芸術に対しても、それが発している言葉に心臓をつかまれる人がいる。そういう現象は、人間の心に常に生じ得る現象で、それが「詩」との出会いなのだと、編者は言う。現代詩を書く人だけが詩人なのではなく、もしその人が、自分のうちに大いなる言葉に対する反響板を見いだせたら、そのとき人は誰でも詩人であるのだ。収められた101編は、読者のうちの反響板を刺激する、仕掛けと滋養に満ちた秀作揃いである。
 
ジャンル:詩集
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