第4回選定作品
作品タイトル
『GO』
作家名
翻訳者
初版
2000年 講談社文庫
キーポイント
- アイデンティティーに揺れながら恋と成長にひた走るピュアな青春小説
(あらすじ)
「日本で生まれ育った在日韓国人の少年。差別と葛藤を超えて成長する主人公の熱い恋」
「僕は、日本で、生まれた」。国籍を朝鮮籍から韓国籍に変えた元プロボクサーの父親と、韓国籍の母親との間に生まれた主人公の「僕」は、「外国人」でありながら日本で生まれ育った「在日韓国人」。日本には「在日」に対する差別意識が根強くあり、朝鮮民族学校で小中一貫の民族教育を受けた僕は、日本の高校への進学を宣言して民族学校の教師たちから「民族反逆者」と呼ばれ、都内の私立男子高に進学すると、日本人の教師たちから「氏素性を隠せ」と言われ、因縁をつけてくる日本人の高校生と喧嘩に明け暮れる毎日を送っていた。
ある日、友人の誕生パーティーで強い視線を持つ日本人の女の子、桜井に出会い、たちまち恋に落ちる。僕が「在日」だと打ち明けたら、桜井はどんな反応をするだろう……。豪快な父親、優しい母親、民族学校時代の親友、そして絶対に手放したくない、もの凄く可愛い日本人の女の子。アイデンティティーの揺らぎに悩みながら自己を確立していく主人公のエネルギー溢れる恋と葛藤を、在日コリアンを取り巻く複雑な状況を交えつつ描いた爽快な青春小説。
自らを「コリアン・ジャパニーズ」と称する在日韓国人の著者は、初めて書き下ろし長編に挑んだ本作で2000年に直木賞を受賞。「在日」ポップ・ノヴェルの爽やかな傑作。
ジャンル:小説
受賞:直木賞(第123回)