翻訳作品紹介
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第4回選定作品
『少年H』
作品タイトル
『少年H』
作家名
翻訳者
ロシア語版 / Tatiana Redko
初版
1997年 講談社
キーポイント
  • 太平洋戦争を少年の視点で描いた自伝的作品
(あらすじ)
「戦争という現実を突きつけられながらも、陽気で逞しい少年の家族愛と勇気」 外国人の多い神戸の街に生まれ、洋装店を営む仕立て職人の父親と、クリスチャンの母親に育てられた妹尾肇は、胸に「H」の文字を編み込んだセーターを着せられて、友だちから「エッチ」というあだ名をつけられる。
 家族と愉快な友だちに囲まれて、毎日遊ぶことに大忙しだったHだが、日本はドイツ、イタリアと同盟を結び、英米と敵対して、市民の生活に戦争が忍び寄る。開戦後、戦火はいよいよ身近に迫り、ある夜、神戸は大空襲を受けて、Hと母は爆弾の雨の中を逃げまどう。「この戦争はなんなんや?」「大人も新聞もウソつきや」。誰も本当のことを言わない、言えない、それが「戦争」なのだ。ポツダム宣言を受け入れて日本が敗戦した1945年8月15日、Hが見たものは−−。
 本書は、1930年生まれ、日本を代表する舞台美術家であり、エッセイストとしても知られる著者の初の小説で、太平洋戦争を少年の視点から描いた自伝的作品。好奇心と正義感が人一倍旺盛な少年Hと、ちょっと変わった家族が巻き起こす愛と笑いと勇気の物語は、発売とともに激賞され、100万部を超えるベストセラーになった。作家の澤地久枝は、「この物語には、今まで誰も書かなかった貴重な『時代への証言』がある」と絶賛した。
 
ジャンル:小説
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