第1回選定作品
作品タイトル
『斜影はるかな国』
作家名
翻訳者
初版
1991年 朝日新聞出版社
1994年 講談社(文庫版)
キーポイント
- スペイン通として知られる著者が、スペインの過去と現代を舞台に描く壮大なミステリー
(あらすじ)
「亡き母と日本人義勇兵は何か見えない糸でつながれているのだろうか……」
東和通信社きってのスペイン通として知られる特報部の記者、龍門二郎(りゅうもんじろう)は、スペイン大使館のパーティーで、大学の後輩、冠木千夏子(かぶきちかこ)と再会する。龍門は、千夏子の紹介で、外務省語学研修所でスペイン語講師を勤める国枝(くにえだ)に出会う。国枝は、元外交官で、1936年フランコ将軍らが蜂起して勃発したスペイン内戦当時、スペインのサラマンカ大学に官費留学をしていた。その頃、外人部隊にギジェルモ・サトウと名乗る日本人義勇兵がいたというが、国枝がサトウに会ったのはたった1度だけのことだった。 龍門は、国枝の話に興味を持ち、サトウの足跡を取材するため、スペインへと飛ぶ。そして、サトウについてリサーチを重ねる龍門は、その裏に隠されていた大いなる秘密を知ることになる。
龍門がかつて取材をしたことのある花形理絵(はながたりえ)は、マドリードの大学に留学中。大学の講師・イバラギレが自分に好意を持っていることを知り、理由をつけては誘いを断っている。ある晩、しびれをきらしたイバラギレが、無理矢理、理絵にキスをしてきた。理絵が思い切り膝蹴りをくらわすと同時に、イバラギレの身体は力なく崩れて行く。路上に横たわる彼の背中にはナイフが突き刺さっており、間もなく息を引き取る。理絵は警察に取り調べられ、イバラギレがETA(バスク祖国と自由)の闘士だったことを知る。そして、事態は理絵、さらに龍門をも巻き込み、複雑に展開していく。
スペインの過去と現代に翻弄される龍門、理絵の運命はいかに……?
ジャンル:ミステリー