翻訳作品紹介
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第1回選定作品
作品タイトル
『半七捕物帳』
作家名
翻訳者
英語版 / Ian MacDonald published
フランス語版 / Karine Chesneau published
初版
1917年 平和出版社
キーポイント
  • 国産推理小説がほとんど存在しなかった時代にパイオニア的存在となった作品
(あらすじ)
「和製シャーロック・ホームズ 半七、大活躍!!」
 
「わたし」の叔父はたくさんの陰惨で幽怪な伝説を知っていた。しかし、「武士たるものが妖怪など信ずべきものでない」という武士教育の感化からか、一切これを認めようとしない。ただ、「おふみの一件」と言われる事件については、違うようだった。「わたし」は好奇心をかき立てられ、父と叔父の知人で、この一件に関わりがあると思われる「Kのおじさん」に会いに行った。ふだんは話し好きのおじさんだが、この件については口が堅かった。
 それから2年がたち、「わたし」の頭からは、おふみの一件はすっかり消えてしまっていた。ところが、ある日突然、おじさんが、おふみの一件について切り出す。
 それはまだおじさんが20歳のとき、松村彦太郎(まつむらひこたろう)の屋敷に、小石川に嫁いだ妹のお道(おみち)が娘のお春(おはる)を連れて訪ねてきて、離縁したいと言い出す。松村が理由を問いただすと、お道は、夜毎枕元に水を浴びたようにびしょ濡れの女が現れ、お春も「ふみが来た」と叫ぶのだ、と話す。不安と不眠で疲れ果てたお道は、夫に訴えたが取り合ってもらえないので離縁をしたいのだ、と説明をする。
 そこで、松村は事実を確かめるため、懇意にしている近所に住むおじさんに真相を探るよう頼む。調べてみても手応えの得られないおじさんは、顔見知りの神田の岡っ引・半七(はんしち)に相談する。そして、半七は、立ちどころに真相を究明するのだった。(「お文の魂」より)
 
ジャンル:時代小説、ミステリー
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