翻訳作品紹介
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第1回選定作品
作品タイトル
『浮雲』
作家名
翻訳者
英語版 / Lane Dunlop published
フランス語版 / Corinne Atlan published
初版
1951年 六興出版
キーポイント
  • 戦後の混沌のなか、生きうる限りを生きようとする女の姿を切実に描いた問題作
  • 当代一の女流作家による戦後の記念碑的大作
(あらすじ)
「フランス領インドシナから東京、南端の屋久島へ。放浪する愛の行方は?」
 
第二次大戦のまっただ中、22歳の幸田(こうだ)ゆき子は、仏領インドシナで林業調査を行う農林省のタイピストとして、ベトナムに向かった。そこで農林研究所員、富岡(とみおか)と出会う。富岡は一見冷酷だが女を惹きつけるものがあり、ゆき子の心は沸き立つ。富岡には日本に残した妻がいたが、本国で悪化する戦況をよそに、ふたりは南国の地でつかの間の甘美な日々を過ごす。しかし敗戦後、一足先に帰った富岡を頼り東京に戻ったゆき子を待っていたのは、よそよそしい態度をとる富岡だった。
戦後の荒廃した街で、家も家族も金もない孤独なゆき子は、自暴自棄になりながらも、強く生きて行こうと決意する。しかし富岡への思いは止むことがない。妻と静かに暮らそうと思い直していた富岡は、心が決まらぬままに、ゆき子との関係を続けてしまう。
事業に行き詰る富岡はゆき子と心中を図るが、未遂に終わる。それから間もなく、飲み屋の若い女と関係を持つ富岡に、ゆき子は愛想を尽かすが、そのとき、ゆき子は富岡の子を宿していた。ゆき子は、結局子どもを堕ろし、富岡の元へ戻っていく。
妻の病死を機に、富岡は屋久島の営林署に赴任することを決意する。行き場のない富岡の心に浮かんだのは、仏領インドシナの豊かな自然だった。ゆき子は体を壊しながらも、富岡に同行する。そして、富岡が森に入っている間に、ひとり喀血し死んでいく。 
 
ジャンル:大衆小説
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