翻訳作品紹介
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第2回選定作品
『白髪の唄』
作品タイトル
『白髪の唄』
作家名
翻訳者
英語版 / Meredith McKinney published
フランス語版 / Véronique Perrin published
ロシア語版 / Tatyana Rosanova
初版
1996年 新潮社
キーポイント
  • 「内向の世代」の代表的作家が描く生と死の表裏一体の姿
(あらすじ)
「老境に向う男たちの奇妙に明るい日常に響く生者と死者の声」
 
 家の近所の公園で「私」は、ひとりの白髪の老人に声をかけられる。よくよく見ると、それは老人ではなく、40年ぶりに出会った高校時代の同級生の藤里だった。それ以来、藤里と近所でたびたび顔を合わしては、思い出話に花を咲かせるようになる。藤里と「私」は、学生時代にはそれほど親しい友人ではなかったが、偶然にも、菅池という共通の友人がいることが判明する。「私」と菅池は、20代の頃に地方の勤務地で出会った仲間だった
 こうして、交流のはじまった「私」、藤里、菅池は、それぞれ問題を抱えていた。「私」は頸椎狭窄による四肢麻痺で手術をした後、不眠症に悩まされている。藤里は、高校時代に上級生の飛び降り自殺を目撃し、精神に異常をきたしてしまう。菅池もまた、駅の階段か転落して以来、自分を自分で離れたところから見ているような感覚をおぼえ、鬱病になる。
 幼い頃の空襲の記憶、様々な生と死の思い出……。日々の生活のなかの狂気と正気、夢と現の狭間に踏み入る傑作長篇小説。
 
ジャンル:純文学
 
受賞:毎日芸術賞(第38回)
(あらゆる芸術分野を対象に、特に優れた成果を上げた個人・団体に贈る賞)
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