翻訳作品紹介
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第2回選定作品
作品タイトル
『宮澤賢治詩集・短編集』
作家名
翻訳者
英語版 / Roger Pulvers published
ロシア語版 / Ekaterina Riabova published
初版
1990年 新潮社(文庫版)
キーポイント
  • 科学用語や宗教用語、方言を用いた多彩な言語感覚で新鮮な驚異と評された詩集。
  • 日本で最も愛される、美しくも哀しい珠玉の童話たち。
  • 詩、童話、小説の枠を超えた、新しい文学の誕生を予感させつつも37歳で逝った天才作家の代表作。
(あらすじ)
「圧倒的なイメージと斬新な語彙による、詩と童話の世界」
 
宮澤賢治は岩手県を故郷とし、その深い自然のなかを跋渉しながら、森羅万象と交響して生起したこころの風物を作品として生み出した。賢治は、詩という既成概念でとらわれることを避けた自身の創作活動を「心象スケッチ」と称した。その用例第一作となったのが、口語自由詩「心象スケッチ 春と修羅」である。科学用語、宗教用語、方言を用いた、この作品集の語彙の斬新さは、佐藤惣之助ら先輩詩人を驚かせた。(宮沢賢治詩集より)
 
 父が漁から戻る日を待ちわびるジョバンニは、学校の放課後に活版所で活字拾いの仕事をしている。祭の日に、クラスメートたちにからかわれたジョバンニは、ひとり丘に上にやってくる。気がつくと、そこは銀河ステーションで、ジョバンニは友達のカムパネラと一緒に銀河鉄道に乗っていた。ジョバンニと、川に落ちた友人を救おうとして流されてしまったカムパネラが、銀河鉄道で宇宙を旅する美しく幻想的な物語。(「銀河鉄道の夜」より)
 
 鷹によく似た鳥「よだか」は、味噌をところどころに付けたような、まだらな顔をしている。よだかは、平たく耳までさけたくちばしの、実にみにくい鳥だった。
 ある日、鷹が自分に似た名前を持つよだかに、「市蔵(いちぞう)」と改名するようにせまる。改名などしたくないよだかは必死に断り、そして、なぜ皆が自分を嫌うのかを考えた。考えをめぐらせるうちに、よだかは毎晩たくさんの虫たちを食べ殺していることに苦しみを感じ始める。そして、遠くの空の向こうに行ってしまおうと心を決める。よだかは、夜空に青白く輝く星に、一緒に連れていってくれと頼むのだが……。(「よだかの星」より)
 
ジャンル:詩、童話
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