第4回選定作品
作品タイトル
『大河の一滴』
作家名
翻訳者
ロシア語版 / Irina Melnikova
初版
1998年 幻冬舎
キーポイント
- 豊穣な仏教の知識を背景に命を謳うベストセラー・エッセイ
(あらすじ)
「苦しみ多き人生を生きる手だてを説いた告白的エッセイ」
どんなに愛しあい信頼しあった夫婦でも、いずれどちらかが先立ち、別れなければならない。人間の一生とは本来、苦しみの連続なのではあるまいか−−。
「生きてゆく」苦しみに向き合い、小説のほか、音楽、美術、歴史、仏教など多岐にわたる分野で研鑽と思索を積み重ねた著者が、「痛みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」と、日本独自の仏教を確立した思想家、親鸞を記した『歎異抄』を中心に、苦しみ多き現代社会を生きる手だてを説いた告白的死生論。
1998年4月の刊行と同時に社会現象を巻き起こし、読者に勇気と希望を与え、240万部の大ベストセラーになった。人間とは救いがたく愚かで、妄執に苛まれて生きねばならないが、そうした地獄の日々の中に、極楽はある。私たちの生は、大河の流れの一滴にすぎない、覚悟を決めよと説くこのエッセイを、映画監督の周防正行は「あるがままにあることを、肯定もせず、否定もせず、あるがままに受け入れてみる。そうすることで、まるで違う自分がみえてくれることを教えられた」と絶賛。
朝鮮で敗戦を迎え、命からがら引き揚げてきた少年時代の経験にも触れ、著者が初めて赤裸々に心情を吐露した告白的エッセイである。
ジャンル:エッセイ