翻訳作品紹介
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第4回選定作品
『曼荼羅道』
作品タイトル
『曼荼羅道』
作家名
翻訳者
英語版 / Wayne P. Lammers published
フランス語版 / Sophie Refle
ロシア語版 / Evgeniya Saharova
初版
2004年 集英社
キーポイント
  • 時空を超えて奏でられる壮大な愛憎劇
(あらすじ)
「愛憎と性に翻弄される2組の男女。マレー半島から日本に来た女の数奇な運命は……」
 
 妻の静佳とそろって失職し、家業の薬売りを手伝うために妻と富山に戻った麻史は、祖父の蓮太郎が残した書き付けから「曼荼羅道」の存在を知る。
 蓮太郎は戦時中、マレー半島に渡り、コタ・バルの薬屋で出会った部族の娘、サヤを現地妻とした。蓮太郎が去った後、コタ・バルを占領した日本軍に暴行を受けたサヤは、戦後まもなく蓮太郎との間の子を連れて日本に渡り、蓮太郎の妾になる。
 一方、孫の麻史は、静佳との関係に悩みながら立山連峰の薬師岳に通じる道を訪ね、永遠にたどり着くことのない道「曼荼羅道」に入り込んでいく。静佳は麻史と結婚する前から、別の男との関係をずっと続けていた。関係が終わった後も、麻史への罪悪感が消えず、夫婦関係に満足できなかった−−。
 現代を生きる麻史と静佳、戦後を乗り越えてきた蓮太郎とサヤ。時代を隔てた2組の男女の人生がやがて「曼荼羅道」で交錯する、時空を超えて奏でられる壮大な愛憎劇。愛憎と性に翻弄される男女と、家族、戦争の過酷さを、圧倒的な迫力と濃密な筆致で描く。2002年に柴田錬三郎賞を受けた長編小説で、評論家の大森望はこの作品を「過去と現在、日本の雪国と南方の島との関わりを織り込んだ素晴らしいファンタジー」と評価した。
 
ジャンル:純文学
 
受賞:柴田錬三郎賞
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